
オーナメンタルストーンとは、どのような石のことをいうのでしょうか。これらの鉱物が持つ限りなくカラフルな色合いが、その名の謎を解く鍵となります。
大プリニウスが古代の百科全書といわれる大著『博物誌』の中で、貴石を列挙したのが1世紀。その遥か以前、メソポタミア文明や古代エジプト文明において既に、ラピスラズリが装飾品や魔除けに使われていたことが分かっています。リボンアゲート、ロッククリスタル、カーネリアン、そして特に魅力的な発見の歴史を持つターコイズは、古代の社会において幅広く使われていました。
中世には色彩への傾倒が高まる中、宝石に彫刻を施すグリプティック芸術が復興期を迎えます。この時期、オーナメンタルストーンはそのニュアンスのある色合いにより、カメオ(浮き彫り)やインタリオ(沈み彫り)、さらには宗教的な図像やタリスマンに彩りを与えるのに使われ、さらに広まります。
多彩な可能性を秘めたオーナメンタルストーンは、手の込んだマルケトリの天板を持つセンターテーブルのような家具の装飾にも使われました。17世紀初頭のイタリア芸術に見られる極端なまでに洗練された特徴が、フランスの職人たちに受け入れられ、19世紀に舞踏会などのパーティが流行すると、ヨーロッパ全土でオーナメンタルストーンが人気を博すようになります。
1970年代、その趣味嗜好が社会的・空間的な意味において世界を席捲すると、伝統的なジュエリーの世界にも影響があらわれ、アールデコ以降は顧みられることのなかったマラカイトなどのオーナメンタルストーンへの関心を復活させることになります。
宝石学者、美術史家、レコール研究教員のマリー=ロール・カシアス=デュラントンと、装飾芸術を専門とする美術史家でありレコールの教師でもあるポール・パラディが、豊かな知識であなたを魅了します!
トークスケジュール・言語
4月13日(木)午後8時(日本時間)
英語(日本語、広東語、北京語の同時通訳付き)
講師
マリー=ロール・カシアス=デュラントン
宝石学者、美術史家、ジュエリーと宝飾芸術の学校「レコール」研究教員
ポール・パラディ
美術史家、装飾芸術の専門家、ジュエリーと宝飾芸術の学校「レコール」教師
写真: シトハトホルユネトのネックレス、アメジスト、カーネリアン、ラピスラズリ、緑長石、イエローゴールド、中期王朝、紀元前1887年~1878年頃、メトロポリタン美術館、ニューヨーク